それは「ヤマトは我なり」です。この意味は「ヤマトグループは「人」を会社の一番大切な財産と位置づけています。それは社員一人ひとりの創意・工夫、努力の結集がヤマトグループの企業としての価値を生み出しているからです」と書かれています。
いつからこの社訓が葬り去られてしまったのでしょうか?
ご存じのように、ヤマト運輸は、1年前の1月31日に25000人のクロネコメイトと呼ばれる委託労働者、3150人に及ぶ非正規雇用労働者を一斉に契約解除しました。この理由は2023年6月に公表された趣旨「2024年問題の緩和・環境問題への貢献」などとは程遠く、昨日・今日の朝日新聞にも書かれていますが、利益の少ないメール便や薄型荷物は日本郵便に任せ、ヤマトは単価の高い宅急便に注力したいというものです。まさにコストカット・合理化の最たるものだったことが明らかです。
ヤマト運輸の経営陣の皆さん、その事業に約30000人の労働者とその家族のくらしと生活があることを考えも見なかったのでしょうか?
そしてヤマト運輸は、25000人のクロネコメイトについては、労働者ではないとして、私たち建交労との団体交渉を契約解除となる最後まで断固拒否し、会社の決定に従うのは当たり前だと言わんばかりの態度に終始しています。今も東京都労働委員会で労働者性を争っていますが、団交には応じていません。
私たちの組合には、業務移管発表後、たくさんの声が全国から寄せられましたし、さらに契約解除後の今も寄せられています。「仕事を失い、収入は半減した。」「なれないガードマンの仕事を始めて夏の暑い日に熱中症で倒れ入院した。」「昼だけでなく夜も働くダブルワークをしないと生活が維持できない。子供に申し訳ない」「収入が減ってしまい、がんになってしまったが手術費用が出せない。」「もう死んでしまいたい。」「ヤマトなんかつぶれてしまえ。」そういう声です。
どこが「ヤマトは我なり」ですか?ヤマト運輸は経営者と正社員だけのものですか?
このような声を多く集まる中で、ヤマトで働く非正規労働者から、正社員との「差別」を伝えられました。それは、会社内の労働組合に加入できない差別。そのため、非正規労働者は会社に対して声を出せないという差別です。
また、最低賃金が大幅に引き上げられる中、正社員が大幅賃上げを実現している中で、パート労働者の賃上げ額は時間当たりたった3円だったという賃金差別です。
こんな差別をまともな労働組合であれば見過ごすことは出来ません。
この2025春闘で建交労軽貨物ユニオンは、非正規春闘のみなさんの支援を頂きながら、中央本部名でヤマト運輸に対して春闘要求書をこれから提出します。非正規労働者については時給200円以上の賃上げを要求します。正社員も38000円以上の賃上げ、下請の事業者に対しても契約単価を引き上げよという要求です。そして、1年前に契約解除となった労働者を時給1500円以上の条件で職場に戻し、現場での人手不足を解消しろという要求です。
この要求に対する回答は、ヤマト運輸で働くすべての労働者、全てのパートナー、全ての消費者からの信頼をヤマト運輸が取り戻せるかどうかの回答です。誠意ある回答を要求します。
最後に、ヤマト運輸の経営陣は、真摯に私たちの要求に向き合い、「ヤマトは我なり」を取り戻すよう要求します。
2024年1月末での解雇対象になっているヤマト運輸茨城ベースで夜勤で働くパート職員のみなさん18人全員(!)が、ヤマト運輸からの一方的な雇い止め通告に対して立ち上がり、新しい労働組合を結成しました! その名も「建交労軽貨物ユニオンヤマト運輸茨城県班」。メンバーは全員女性です! キャリアの長い方は入社して17年という方もいらっしゃいます。
ヤマト運輸からの一方的な解雇通知に怒りを禁じ得なかったみなさんは、「泣き寝入りしたくない」と私たちの労働組合に相談し、ヤマト運輸と交渉するには「労働組合を作るしかない!」という結論に至ったそうです。
組合員のみなさんは、組合を作るという初めての経験や、報道の注目が集まることにとまどいながらも、一生懸命頑張っておられます。このニュースはさっそくNHKでも報道されました。
(主な回答)
①6月の「雇用の終了」の通知については、「お願い」をさせていただいたもので、会社として退職を強要しているものではない。説明不足があった。再配置で労働条件は変わるかもしれないが、雇用契約は継続する。
②再配置先及び処遇については、社員との個別の面談と通して個別の事情を伺いながら丁寧な対応を行ってまいります。最大限の努力をして再配置場所を提案し、個別に面談の中で対応したい。
③再配置先を提案する中で希望があれば、お試しで仕事が出来る様に前向きに対応したい。期間としては1日2日とか、長くても一週間で足りるだろう。1月末までにお試し期間で仕事を経験してもらい、再配置先を決めてもらうように考えている。
Aさんは、その後複数の再配置先が提示され、ほぼ希望通りの再配置となり、2月以降も雇用が継続されることとなる模様です。